太陽の塔

太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)

新幹線の中で読んでいたが、途中で不覚にも声を出して笑ってしまった。ずっとニヤニヤしながら読んでいたかも。気持ち悪い人だ。
主人公の男(京大生)は、振られた後輩を研究し続けている。本人はストーカーだとは思っていない。彼の周りにいるのは、頭脳明晰だが女と縁のない、何だかよくわからない男たち。ある日、主人公は彼女のアパートの前で、見知らぬ男に追い払われた。しかし、その彼もまた、彼女を見ているだけのストーカーなのだった。奇妙な妄想世界が面白い。日本ファンタジーノベル大賞
留年組やドロップアウト組が集まるような学生アパートや下宿屋というのを知っている、というか自分も集まっていた一人なので、それがこの本の端々で笑ってしまう理由かも。そこには現実に、この本に出てくるような奴らがいた。だからこれは、ファンタジーではなく、ちょっと妄想の入ったリアルな私小説だと思う。