夏月の海に囁く呪文
- 作者: 雨宮諒
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2005/11/10
- メディア: 文庫
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僕はどこかへ行きたかった。
僕はどこへも行けなかった。
僕の居場所はどこにもなくて、でも独りきりは寂しくて。
──僕は気付けば、能面を被っていた。
能面とは、本来の表情にかかわらず、意図した表情を見せること。それは大人にとっては当たり前のことだが、それに傷つく人がいる。第二話の主人公は、人は生まれ落ちた時が100で、大人になった瞬間に0になるのだと考える。そんな思いなのに、表面的にはさわやかだったり明るく活発だったりで、悩んでいるようには見えない。そういう人々が、現在の居場所のままに新しい自分を見つけていくストーリー。
僕には面白かったが、乗り越える前の人、またはそういう悩みの経験のない人が読んだ場合、共感できない気がする。ということで、対象年齢ちょっと高め。電撃なのにイラストがないのもその辺意識してのことでしょう。