まっぷたつの子爵 / イタロ・カルヴィーノ

まっぷたつの子爵 (ベスト版 文学のおくりもの)

まっぷたつの子爵 (ベスト版 文学のおくりもの)

この本、カバーによれば「スリリングな傑作メルヘン」なのだが、スリリングでもメルヘンでもないと思う。テーマがなかなか重い。しかし文章は軽く、一気に読める。
戦争に出かけた子爵は、砲弾に引き裂かれてまっぷたつになり、右半分だけになって領地に帰ってきた。体と一緒に善の半分もなくしてしまった彼の行いを、人々は恐れ嫌う。しかし、彼に対する人々の姿もまた、まっぷたつなのだ。