日本沈没

前半はなかなか面白かったが、後になるにつれてどんどんスケールが小さくなって、後半のドキドキするシーンはわだつみ6500が沈むところくらい。日本沈没という物語は日本からの脱出ができなくなる過程と瞬間とをいかに描くかで評価されるべきと思うのだが、脱出を待つ人々が死んでいくシーンはあっても、脱出できなくなる瞬間を説明するシーンがない。なんと空港の崩壊シーンすらない。フェンスに遮られた飛行場のシーンから考えれば、まるで政治家や金持ちは飛行機で脱出できるのに貧乏人だけが山に避難させられているかのよう。その後、最後の瞬間までに一人でも多くの人を海外に脱出させようとする現場の努力は全く映像になく、個人の話がだらだらと続く。
最悪なのは、日本が沈没しないことだ。
日本沈没なのに、沈没しないプランが途中で出てきて、そのプランが成功する。沈没しないとわかったとたんにスケールがみるみる小さくなっていく。


本件について、東大地震研究所の回答がなかなかよい。

Q9.どうして(映画が)こんなにおもしろくないのですか?
A9.映画がおもしろいかどうかは多分に主観的・直感的なものです。当研究所としては、「直感とイマジネーション」を尊重しながらも「客観性と再現性」によって検証できる質問に回答を限らせていただきたいと存じます。どうぞご理解下さい。

http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/filmnc06/eri_qa.html