今日の一冊 - 日本焼肉物語

日本焼肉物語 (知恵の森文庫)

日本焼肉物語 (知恵の森文庫)

5年ほど前に読んだ本。文庫で出たので買ってしまった。焼肉の歴史、面白い。
「焼肉」の名は南北朝鮮の対立から生まれたとか、1988年のソウルオリンピック以後焼肉が広まったたとか。
しかし僕は、小学生だった70年代、通学路でおやつにホルモン焼きを食べ、特別な日には食道園で焼肉を食べていた。キャンプやハイキングに網を持っていって焼肉を楽しんでいた。肉は松原の方にバケツを持って買いに行く。その記憶からすると、この本の感覚には違和感がある。西成、阿倍野天王寺、浪速、南というサークルで生活していた子供にとって、焼肉は珍しい食べ物ではなかった。80年代には高校の学区の関係で生野が遊び場に加わった。そこでも、焼肉はごく当たり前の食べ物だった。というより、そっちの方が本場に近い。この本は、「日本」ではそれが当たり前ではなかったということを教えてくれる。
ホルモンはほるもん(捨てるもの)ではないという説には強く同意する。大正時代に分泌物質であるホルモンのブームがあったという研究を読んだことがある。大学図書館だったか。どこかの新書でもそのネタは見た。そのブームにのって、大阪の北極星がホルモン料理を商標登録した。臓物をホルモンとするのは、その流れだ。ちなみに、今はオムライスで売っている北極星である。北極星のオムライスはかなりうまい。