有川夕菜の抵抗値 / 時田唯

有川夕菜の抵抗値 (電撃文庫)

有川夕菜の抵抗値 (電撃文庫)

設定は悪くないはずなのに、面白くないドタバタ劇になってしまっている。過去のできごとを読者に知らせるのが早すぎ、かつわかりやすすぎ。加えてさらに、幕間でその詳細を説明してしまう。幕間はいらないよ。冗長なだけなので、どつきあいもチェイスもいらない。あと、会長がいらない。壊れているのは主人公ではなく受け入れる側の人たちなのだから、そっちをきちんと書き込むべきで、著者もそれはわかっているような感じはあるが、会長の存在のせいで千春の思いが全然書けていない。5ページ目で「友人を一人殺して」と語らせておいて、その件についての広がりはなく、同じシーンに再び立ち会ったときの行動を描くのかと思ってたら、自分が落っこちてどうするのかと。