双生児

双生児 (プラチナ・ファンタジイ)

双生児 (プラチナ・ファンタジイ)

分岐した2つの歴史。記憶と情報が交錯していて、何度も戻って読み直すはめになる。歴史的な知識なしに読んでも全然面白くないんじゃないかと思うが、しかしトリックに集中しても面白いか。
以下ネタバレ。主人公の一人は平和主義者。第二次世界大戦は、彼が死ななかったことにより、独ソ戦前にイギリスがヘスの和平交渉に屈伏し、ドイツと同盟を結ぶ結果となった。ヒトラーは失脚。ソ連崩壊後、ドイツとアメリカがシベリアで睨み合い、そして疲弊による両超大国の崩壊。アメリカは現代にもなお独裁下にあり、ヨーロッパはイギリスの貢献もあって復興をとげたように見える。そもそも和平は世界平和など目指してはおらず、ドイツやアメリカに対するイギリスの地位の確保が狙いだった。そんな世界。平和主義者への皮肉とも読み取れる。
てなことはストーリーとはほとんど関係なく、パラレルワールドの双子の運命がこの本の主題なのだが。