100年の難問はなぜ解けたのか

NHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか〜天才数学者失踪の謎〜」。ポアンカレ予想を証明したとされるペレリマンは、フィールズ賞の$1,000,000を受け取らなかったこともまた大きなニュースになったが、その後「失踪」したらしい。ペレリマンと、それ以前にポアンカレ予想に挑戦した数学者たちの足跡をたどる。
数学にとりつかれておかしくなった人が多数出てくる。ペレリマンもそう。数学というのはのめり込むと寝食を忘れるくらい面白いが、好きでやっているのに、たぶんそれも理由で、解けないと狂いそうになる。僕は早い時期に見切りをつけて、その後はまともに勉強しなかった。それで、苦しみから解放された。そういう現実逃避と比較できるものではまったくないが、あきらめた学者たちの口調はさばさばして聞こえる。予想しなかった方向からの証明とその内容が理解できないことに衝撃を受けたというが、そう感じたからこそすぐにあきらめられたのではないかと思う。
番組中に、家族に助けられ「ポアンカレ病」から引き戻されたという学者がでてくる。それで思い出したが、今日、昼食を食べていたら、テレビから「世界中どこに行ってもいちばん大切なのは家族」とかいうセリフが聞こえてきた。しかし、数学などの魔法に憑かれた天才が家族を大切にしている様子は想像しがたい。そういう天才も世の中には必要なのである。ついでに言えば、すべての人が「家族がなにより大切」だという世界には住みたくないな。きっと、部族社会のような家族エゴに縛られた社会。